気がふさぐ
食事どころではなくて、最初は中心静脈栄養、次に鼻腔栄養となり、現在は午前午後1本ずつの点滴だという。
「鼻から入れたり、血管から入れるんじゃ、おいしくもなんともないだろうに……」と、面会に行ったときだけでも、口から食べさせたいと訴えたが、「誤嚥して、気管に入ると大変だから」と許可が出ない。
病室は、夜中もずっと電気がついたままだという。
「あれじゃあ、眠れませんよ」
消灯するよう頼んだが、「事故が起きたら困るから」と、相手にしてくれないという。
「もう3か月問、立っていませんし、口からモノを食べてません。
このまま亡くなったのでは、入院させたことに悔いが残って……」
最近もっと気になるのは、お母さんの表情だという。
入院して表情がなくなっていったのだが、このごろは、なんだか怯えたような表情になってきたという。
呆けてはいても、買物についてきて、近所の人にも笑顔であいさつしていたころの表情とは、比べものにならない。
しかも、面会に行っても、顔を見てくれなくなったというのだ。