寝たきりになる原因
「寝たきりになってくれれば楽なのに……」と思ったこともあったが、発想を変えた。
歩けるうちはどんどん歩いてもらおう、そのほうが人間的じゃないか、と。
そこで、奥さんは毎日、買い物のときにお母さんを連れて歩くことにした。
近所で、お母さんのことを知らない人はなくなったが、そうすると、お母さんは心身ともに落ちついてきたという。
ところが、この冬、風邪をこじらせて、肺炎を起こしてしまった。
往診に来てくださる先生から入院をすすめられ、ときどき看板で名前を見る近くの病院に電話をしてみると、ベッドが空いているというので、すぐに入院することになった。
ところがこの病院、とんでもない病院であることが、あとでわかるのです。
「アウシュビッツよりひどいところですよ」と、Tさんはおっしゃるのです。
肺炎はしばらくして治癒した。
しかし、誰も散歩に連れて出てくれるわけではないから、まったく寝たきりのままです。